「ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」」 を読んでみました。

- 作者:倉貫義人
- 発売日: 2019/08/30
- メディア: Kindle版
内容紹介は以下のようになっています
●「ホウレンソウ」だけではチームは回らない 仕事をする上で、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は大切です。 こまめな報告があれば安心でき、 連絡が行き届くことで無駄もなくなり、 相談があることでいち早く問題を解決することができます。 ホウレンソウは社会人にとっての基礎スキルといえます。 ただ、ホウレンソウだけでは、 チームのコミュニケーションが機能しなくなってきています。 近年、チーム間で(とくに、上司と部下の間で)個人的な話がしにくくなっています。 働き方改革によって残業が減り、飲みニケーションや喫煙所での会話も少なくなりました。 ハラスメントに注意しすぎて仕事以外の話もしにくく、 つねに成果を求められているため、短期的な仕事の話が中心になっています。 こうしたコミュニケーションだけでは、 人を、成果を出すための道具としてしか見られなくなり、 やがてチームのモチベーションは下がっていってしまいます。 人としてコミュニケーションがとれる場を、 チームとして継続的に設けることが必要なのです。 ●チームを活性化させる「ザッソウ」 具体的にいうと、それはチームにおけるコミュニケーションのあり方を 「ホウレンソウ」のステージから「ザッソウ(雑談・相談)」に上げる、ということです。 ザッソウを通して、メンバー同士が何を考え、 何を感じているのかを共有し、言いたいことを言い合える信頼関係をつくる。 それはチームに心理的安全をもたらし、メンバーのやる気を高めることにもつながります。 それに普段から雑談をしていれば、本当に困ったときに相談しやすくなります。 旧来のホウレンソウだけの状態では、信頼関係ができていないわけですから、 たとえ「いつでも相談していい」と言われていても、なかなか声をかけにくいものです。 つまり話しかける心理的ハードルを下げるためにも、ザッソウは有効なのです。 それだけではありません。新しいアイデアが出ない、専門的な知識がなくて困っている…… そんな問題を解決したいとき、ザッソウでコミュニケーションをとるうちに 価値が生まれることがあります。 ザッソウは、イノベーションにつながるアイデアが生まれ、 チームの生産性を高めることにもつながるのです。
本のカバーには以下のようにザッソウが定義されています。
- ざっそう【ザッソウ】
- 「雑談+相談」「雑な相談」
- 雑談があることで相談がしやすくなり、人間関係が構築されて心理的安全性を高めることができる。
チームビルディングを成功させるのはホウレンソウではなくザッソウ。
社会人になると、早い段階でまず耳にするであろうホウレンソウ(報・連・相)。
報告、連絡、相談 というのを適切なタイミングでやることを社会人として求められます。
なんとなく、部下が身につけておくべき基本的な姿勢という風に思われます。
が、実際のところ
そもそも「報連相」とは、山種証券(現・SMBCフレンド証券)社長の山崎富治氏が社内で「ほうれんそう運動」を始めたことがきっかけです。
下からの意見をどう吸いあげるか、みんなが働きやすい環境をどう作るか、暖かい人間関係をどう作るか、 少数精鋭で社員一人ひとりに厚く報いるには…と、 つね日ごろ頭を悩ませていたとき思いついたのが、”ほうれんそう”だった。
上司・部下の間で情報が行き来する風通しの良い職場環境を作ろうというスローガンで、部下への情報共有を義務付けるものではありません。
しかし、現在ではなんとなく部下への義務的な要件として浸透しています。
世間一般的に広まった ホウレンソウ ではなく ザッソウ によって
組織内の相互理解が高まる、心理的安全性が生まれる、率直に意見をぶつけ合えることで成果が出せる、
新しいアイデアが生まれる、組織を変える土台になる、、、ということが述べられています。
筆者が関わってきた事例などをベースにザッソウの重要性や必要性が述べられています。
割と薄い本ですが、内容は共感する部分が多いです。
多くの人に読んでもらいたい本です。
以下は私が書籍内で気になった部分の抜粋です。(自分用のメモです)
1on1ミーティング という形で、上司と部下で評価面談と別にお互いに考えていることなどを共有する機会を作っている組織が多くあります。
この1on1ミーティングこそ、中身はザッソウです。雑談であったり、相談であったり、特に決着をつけなくていいからこそ、気軽に話をすることができます気軽なフィードバックで仕事の質と速度が向上する
- マネージャーや上司として困るのは、依頼や指示をした内容とまったく違うものが時間をかけた後に出てくるケースです。
- 少しずつ確認していくことが手戻りを減らす最善手となります
働きがいと働きやすさが両立したワクワクする職場には、事業を自分事として考えられる人たちがいる活気の良さと、経済的に安心できて家族や自分の時間を持つことができる制度があります。
少なくとも手応えがあることは、働きがいの必須条件といえます。
それはどのような形であれフィードバックがあることです。
半年に一度の評価面談や定例会議などを持つことなく、気軽にザッソウしてフィードバックされる気合があればいいのです。心理的安全性を高める9つの観点
- チームの目標がはっきりしている
- 適度に対話しやすい人数である
- 強みを知り、認め合っている
- 強みだけでなく、弱みも見せる
- プライベートなことも共有している
- 情報がオープンになっている
- 判断基準と価値観が共有されている
- リアクションの意識がそろっている
- 「肯定ファースト」と「NOと言うこと」
自分の弱みを隠さないでいられれば、困ったときに気軽にザッソウできるようになるので成果も上げることができています。
チームの利点は、仲間が集まることで、1人では実現できない挑戦ができることです。一方、弱ったときに助け合うことで、
1人で潰れてしまわないようにするという利点もあります。そもそも助け合うためには、弱みを見せることは悪いことでは無いのです。フォロワーもある意味でリーダーシップの1つの形態であると主張しています。
ザッソウあふれる職場やチームには、明るく穏やかな空気が流れています。
その雰囲気を生み出しているのは、やはりリーダーの姿勢や人柄によるところが大きくなります。しなやかなマインドセットの人には、人間の基本的な資質は努力次第で伸ばすことができるという信念があります。
持って生まれた資質は違っていても、その後の努力と経験で伸ばすことができる。
だから、現時点で足りていない・できていない自分でも認めることができるのです。ですから難しい問題に出会っても粘り強く立ち向かうことができます。自己組織化とは、もともと自然現象をモデル化した際に使われた表現で、自律的に秩序や構造を作り出す現象のことをいいます。
それを組織やチームへ適用して考えてみると、組織を構成しているメンバーそれぞれが、場に備わったミッションや目的を達成するために、自律的に考えて行動しつつも相互に助け合い、作用し合っている状態と考えられます。ネットワーク型の情報共有は、メンバー1人ひとりの情報リテラシーが問われます。情報を自ら収集する必要がありますし、その情報の正しさを精査して理解するところは各人に任されるからです。しかし、そうして分散化した方がスピードが速く、新しく価値が生み出される可能性すらあるのです。それはまさしくインターネットの世界で実証されています。
人というのは、どれだけ外部から良い方法を教えたり、指導したところで行動を変えることは難しいものです。それは自分たちのことがわかっていないからです。必要なのは、自分たちのことを知る機会です。自分たちが本当にまずい状態だと思えば改善する意欲もわくでしょう。そうなって、ようやく変わる出発点に立ってくれます。鏡を見ることがなければ、自分の顔が汚れていることには気づかないものです。だから、ふりかえりとは、チームで自分たちの姿を鏡で見る機会でもあるのです。